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東京地方裁判所 昭和46年(借チ)11号 決定

〔主文〕1 申立人が本裁判確定の日の翌日から六か月以内に相手方に対し金六、八四八、〇〇〇円を支払うことを条件に別紙目録(一)記載の土地賃借権の目的を堅固建物所有に変更する。

2 前項の金員が支払れた場合、本件賃貸借の期間を右金員支払の日の属する月の翌月から三〇か年に、賃料を同月分から3.3平方米当り一か月金五〇〇円にそれぞれ変更する。

〔理由〕一 本件申立の要旨

(一) 申立人は、昭和二一年五月一四日厳商事株式会社から別紙目録(一)の1記載の土地(以下「本件土地」という。)を非堅固建物所有、期間二〇年の約で賃借し、その後相手方が右賃貸人たる地位を承継し、右賃貸借は、昭和四一年五月一三日法定更新され、本件土地賃貸借の現借地条件は同目録(一)記載のとおりである。

(二) ところで、本件土地は、契約締結後準防火地域に指定され、事情の変更により、堅固な建物の所有を目的とするのが相当であるに至つた。そこで、申立人は、本件土地賃貸借の目的を堅固建物所有に変更し、本件土地上に存する別紙目録(二)の建物をとりこわし、鉄筋コンクリート造四階建建物に改築すべく計画中であるが、目的変更につき、相手方との協議が調わないので、借地条件変更の裁判を求める。

二 当裁判所の判断

(一) 本件で取調べた資料によれば、前記一の(一)の事実が認められる。相手方は、本件土地賃貸借は、昭和四一年五月三日期間満了とともに終了したと主張するが、本件資料において、賃貸人である相手方が本件土地を使用する必要性があることはうかがいうるが正当事由の存否は賃借人側の事情も考慮すべきであり、相手方が、申立人の使用を排して自ら使用する必要性が強く、更新拒絶に正当事由が具備したと認めるに足る資料はなく、したがつて申立人は本件土地の適法な賃借人である。

そして、前記資料によれば、本件土地附近は、本件契約の設定当時は木造建物所有の借地権が通例であつたと推認しうるが、現在は、準防火地域に指定されたうえ、国鉄上野駅から徒歩約一、二分のところであり、附近には堅固な建物が建ちならびいわゆるビル街を形成しており、附近の土地利用状況の変化により、現に借地権を設定するとすれば堅固な建物所有を目的とするのが相当な地域に至つたことが認められる。他に本件目的変更を不当とする事由はない。そこで、本件申立は後記の条件の下にこれを認容すべきである。

(二) 附随の処分について検討する。

鑑定委員会は、申立人に対し、更地価格(3.3平方米当り金一、〇〇〇、〇〇〇円)の一五%にあたる合計金六、八四七、五〇〇円の支払を命じ、賃料を月額3.3平方米当り金三〇〇〇円に改訂するのが相当である、としている。

当裁判所は、本件賃貸借の目的を堅固建物所有に変更するに伴い、借地期間を後記給付金支払の日の属する月の翌月から三〇か年に変更する。そして、本裁判により相手方に借地返還の期待的利益を減少させる不利益を与え、申立人にこれに応じた利益を与えるので、右利害を調整するため申立人に給付金の支払を命じ、賃料を増額すべきである。しかして申立人に命ずべき給付金は、堅固建物所有に変更したことによる借地権価格の増加分により算出するのが相当であり、従前の裁判例によれば、その額は、更地価格の一〇ないし一五%を指標とするが、本件においては、法定更新中の借地権であり建物朽廃により消滅し、本件土地上の現存建物はかなり老朽化していることにかんがみ、申立人に支払を命ずる給付金を更地価格の一五%とする委員会の意見は正当であり、当裁判所もこれに従う(ただし百円以下四捨五入)。賃料について判断する。本件目的変更に伴い借地権価格は比準価格よりやや高額となり、更地価格の八五%になるとみるのが相当であり、底地価格は、割合方式により、更地価格の一五%となり委員会の意見による前記改訂賃料の純賃料利廻りは右底地価格に対し年0.8%となり、借地条件の変更に伴い土地の有効使用の上昇分の一部を賃貸人の地代徴収権にも配分すべき部分が存することを考慮すると、右の額はやや低額にすぎる。当裁判所は、本件土地賃貸借の経緯および目的変更後の改築計画による有効使用の増加度により、本件資料を右底地価格に年2.4%を乗じ公租公課を加算して3.3平方米当り金五〇〇円と定める。(筧康生)

目録(一)

(借地条件)

1目的土地 東京都台東区東上野二丁目八五番地

宅地 438.80平方米132.74坪)のうち150.90平方米(45.65坪)

2成立 昭和二一年五月一四日

3期間 昭和六一年五月一三日まで

4目的 非堅固建物所有

5賃料 一か月金四、八四〇円(3.3平方米当り金一〇六円)

目録(二)

(現存建物)

(一)東京都台東区東上野二丁目八五番地所在

家屋番号 八五番二

木造杉皮葺平家建 店舗 49.58平方米(一五坪)

(二)同所所在

家屋番号 八五番八

木造亜鉛メッキ鋼板葺二階建店舗 居宅

一階 21.48平方米(6.50坪)

二階 9.91平方米(3.00坪)

附属

木造亜鉛メッキ鋼板葺平家建物置

9.91平方米(3.00坪)

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